食物繊維の”発酵性”とは腸内細菌の栄養源になりやすいかを表す指標です。本記事では、食物繊維の”発酵性”が何を意味するかを解説します。
【腸内細菌のエサになりやすいかを示すのが“発酵性”】
微生物の働きによって物質が変化することを発酵といいます。私たちの大腸の中に棲む腸内細菌…特に善玉菌も大腸に届いた物質を発酵分解して腸に有用な物質を生み出しています。腸内細菌が発酵分解しやすいか(=腸内細菌のエサになりやすいか)を示すのが”発酵性”です。つまり発酵性の高いものほど、腸内細菌が好んでエサにし、有用物質を作り出しやすいと言えます。
【発酵性は食物繊維の種類によって変わる】
善玉菌は腸に届いた物質を何でもエサにする訳ではありません。食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維がありますが、善玉菌のエサになるのは水溶性の食物繊維です。さらに水溶性食物繊維の中でもエサになりやすいものとそうでないものがあります。エサにしやすい成分は“高発酵性”とよばれます。“高発酵性”食物繊維とされる成分は限られますので、食物繊維を選ぶ際には発酵性に注目することが大切です。
【発酵性が腸の健康に重要な理由】
腸内の善玉菌が食物繊維を発酵分解した際に作り出される有用成分を「短鎖脂肪酸」とよびます。短鎖脂肪酸(酢酸・プロピオン酸・酪酸)は、腸の健康に有用な様々な働きをもっています。
- 腸内を弱酸性に保ち、善玉菌がすみやすい環境を整えます。
- 腸の蠕動運動を促進します。
- 腸粘膜のエネルギー源となり、腸全体を健康に保ちます。
- 大腸での水やミネラル(Na,Ca,Mg)の吸収を促進します。
- 炎症性サイトカインを抑制します。
- 肝臓での脂質合成を抑制します。
(2023年11月作成)