腸内環境良好化は腸の健康・ひいては全身の健康に繋がります。
効率的に腸内環境を良好化する”腸内フローラを育てる”とはどのような方法でしょうか。
【食生活の影響を大きく受ける腸内環境】
腸内には100兆個の腸内細菌が生息し、良好な腸内環境は善玉菌・悪玉菌・日和見菌が2:1:7のバランスの上に成り立っていると言われています。良好な腸内環境を維持するには善玉菌優勢の状態を作り出すことが重要です。善玉菌と悪玉菌の増減は様々な因子に左右されますが、中でも食生活による影響が大きいと言われています。例えば、脂質の多い食事は悪玉菌を増やしてしまい、腸内環境の悪化から便秘や下痢を引き起こすことに繋がります。また、腸内細菌の組成は前日にとった食物繊維量と大きく関係するとの報告もあります。*
*Genome Biol. 2014; 15(7): R89.
【知っておきたい”摂る”と”育てる”アプローチ】
善玉菌として知られるのはビフィズス菌・酪酸菌・乳酸菌などです。これらの菌を食品から摂ることでお腹の中に善玉菌を届けることが”摂る”アプローチです。善玉菌やそれらを含んだ食品を「プロバイオティクス」と呼び、ヨーグルトや発酵食品・乳酸菌飲料などが該当します。
一方、善玉菌が好む”エサ”を食品として摂取することで腸内に届け、その数を増やすことが”育てる”アプローチです。善玉菌が好むエサのことを「プレバイオティクス」といい、水溶性食物繊維やオリゴ糖がこれにあたります。
【自身のお腹の善玉菌を“育てる”のが効率的】
食品から摂れるプロバイオティクスは腸内の菌数と比較すると僅かです。例えば、食品から摂る善玉菌が仮に100億個だとすると腸内細菌の総数100兆個に対しその割合は0.01%にすぎず、腸内フローラ全体の構成比に与える影響はほんの僅かです。一方、プレバイオティクスである水溶性食物繊維などを食品から摂取することで、腸内にもとからいる自身の善玉菌が元気になり、腸内環境を更に善玉菌が住みやすい環境(酸性)にすることができます。
プレバイオティクスである食物繊維にも様々な種類がありますが、より効率的に善玉菌を育てるためには、善玉菌のエサになりやすい”高発酵性”の食物繊維を選ぶことも重要なポイントです。
これからは自分の腸内細菌を育てる育菌を意識した腸活を心がけてみませんか。
(2023年11月 作成)