腸内フローラを構成する善玉菌の中でも、近年注目を集めているのが酪酸菌です。
注目の理由と酪酸菌を増やす方法をご紹介します。
【長生きな人は腸内に酪酸菌が多い!?】
長寿国と言われる日本、その中でも特に長寿者が多い地域があることはご存知でしょうか。京都府京丹後市は100歳を超える人の割合が全国平均の3倍も多いことから“健康寿命延伸のヒント”があるのでは…と注目を集める地域です。長寿者が多い理由を解き明かすために実施された調査*によると、京丹後市の65歳以上の方の腸内フローラには”酪酸菌が多い”ことが判明しました。
*京丹後長寿コホート研究
【腸内で大活躍の酪酸菌】
酪酸菌は酪酸産生菌とも呼ばれ、食物繊維等のエサを発酵分解して短鎖脂肪酸のひとつである酪酸を産生します。短鎖脂肪酸は身体への好影響が知られていますが、中でも酪酸は大腸のエネルギー源として重要であり、腸のバリア機能をアップするはたらきも担っています。
<酪酸のはたらき>
- 腸上皮細胞の最も重要なエネルギー源
- 腸のバリア機能アップ
- 炎症抑制
- 腸管免疫の維持
【酪酸菌を増やすには適切なエサを選ぶべき】
では酪酸菌を増やすにはどのような食生活にすればよいのでしょうか?先述の京都府京丹後市の食卓を見てみると、豆・芋・根菜・海藻・玄米などの全粒穀物など食物繊維を含む食材が多く取り入れられていました。酪酸菌は食品から摂るのは難しいとされており、酪酸菌のエサになる食物繊維などを腸に届けてあげることが酪酸菌を増やすために有効だということがわかっています。
京丹後市に特徴的である食物繊維豊富な食生活が腸内の酪酸菌を増やしていた事が伺えます。
実は食物繊維にも様々な種類があり、「酪酸菌のエサになりやすい食物繊維」があることも分かっています。グアー豆食物繊維は様々ある食物繊維のなかでも酪酸産生能力が高いことがわかっています**。腸内の酪酸菌を増やすことを目指すのであれば、食物繊維の種類を選ぶことを考えてみるのはいかがでしょうか。
**J.Med.Food 8: 113-116 (2005)
リンク:腸の健康に欠かせない短鎖脂肪酸
(2023年11月 作成)